大賞 (賞金30万円)
「Beyond distance project」
~距離をこえた教員研修の機会の実現~ 地方から日本の未来をつくるために
福島県双葉郡楢葉町立楢葉中学校 根本 太一郎 教諭
(受賞の言葉)
この度は最優秀賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。
私たちの取り組みについて、最大限にご評価いただき、嬉しさで胸がいっぱいです。
私たちは2022年6月に出会い、福島県と新潟県、そして同じ僻地勤務で出身大学、担当教科も同じということですぐに意気投合し、研究を進めてきました。似たような職場環境ということもあり、共通の課題や問題式を持っていたことで、志を共にし、活動に向かいました。
オンラインの普及により、離れた地域であっても継続的に研究を進めることができました。また、優れた実践や指導法にも触れることが可能になり、やる気さえあれば可能性が無限に広がることを実感しました。授業づくりなどでなかなかうまくいかず、行き詰まった時や悩んだ時にすぐに助けてくれる、そんな同じ志を持った仲間と繋がり合うことができたことに改めて感謝しています。
地域を超えて活動し、学び合い高め合ってきたことがこの賞を頂いたことで自信に繋がりました。ともに研究の苦労を分かち合い、励まし合ってきた小田先生。心豊かな社会をつくるための子ども教育財団の皆様、いつもそばにいて応援してくれた家族など、全ての皆様に心から感謝申し上げます。
『障子を開けてみよ、空は広いぞ』の言葉にあるように、未来ある子どもたちの視線の先には無限の可能性が広がっています。地方であっても離島であっても描いた夢を実現することができるよう、その後押しができるような教育活動の実現を図っていけたらと思います。そのためにも、全国の先生方との繋がりを深めることを通して、自分の指導力を高め、目の前の生徒の笑顔のために還元していきたいと思います。(根本太一郎)
地方にいても、離島にいても、最前線の教育実践を知りたい。共に学び合い、高め合える仲間とつながりたいという気持ちをもって、地域を超えた活動に取り組んできました。周囲との温度差に悩んだり、こんなこと誰も望んでいないのかなと苦しんだりする気持ちになることもありました。
そんな中、離島にいても地方の志ある仲間とつながり、このような賞をいただけたことで、まだまだ頑張りたいと思える勇気をいただきました。
私一人で成し遂げたことなど何もなく、一緒に活動を盛り上げてくれた根本先生をはじめ、私たちの企画に参加してくださった全ての皆様、心豊かな社会をつくるための子ども教育財団の皆様、そしていつも私を支えてくれる家族に、改めて感謝します。
子どもの笑顔を実現するためには、私たち教師の笑顔も大切だと感じています。これからも、地域を超えた繋がりを拡げ、自分たちの教育実践力を高められるワクワクした取り組みをしていきます。そして、より多くの子どもたちの心を豊かにし、笑顔を広められるように精進したいと思います。
(講評)
地域を超えた学校の現職の先生が連携し、GIGAスクール構想や地域間の格差に問題意識を感じ、教育の新しい形を求め、「全国の教職員をつなぎ、オンライン・対面両方の形で地方の教職員が一堂に会する勉強会やフィールドワークの実施、プラットフォームの形成という構想」に向けて行動を起こしていることに大変感銘を受けました。
日々の業務がお忙しい中で、新たな動きを起こすことは非常に負担の多いことだと思いますが、あえてそこに挑んでいる姿は大変素晴らしいと思います。子どもに一番近いところにいる先生が新しいことにチャレンジする姿は、子供達にとっても良い手本となり、未来への道筋であると思われます。全国にそのような思いを持った教職員の方がつながり、交流されることで、よりよい方法を共有し、考えることで解決、または昇華され、その動きが、少しずつ広がっていくことを期待しています。
現役教師によるコミュニティの立ち上げは非常に意義の高い活動であると思われます。今後の活動においては、コミュニティの組織化(メンバーを増やす・プロモーションの仕組みを作るなど)とコンテンツのシステム化(教科ごと・学年ごと・クラス運営・海外の教育事例の共有)を進めていくことを検討していただき、同プロジェクトが全国の教師の知的プラットフォームとなることを期待します。このプラットフォームが将来的に地域で開かれた場となり、地域との連携の場になるとより嬉しいと思います。
優秀賞 (賞金10万円)
「大学入試における地方格差を是正したい」 Kotona 坂井 壮眞
(受賞の言葉)
この度は優秀賞という素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。
私たちKotonaは「教育の情報格差」をテーマに活動しています。
私は新潟県三条市というところで生まれ育ち、大学入試の情報も非常に限られたものしか見聞きすることはありませんでした。近年情報化が進み、簡単に情報にアクセスできるようになったように思えますが、「情報格差」は本当の意味で解消されたとは私は思いません。なぜなら、本来大学受験のプロであるはずの教育関係者や最終決定をする保護者がこうした情報を吸収しようとせず、地元の国立大学に合格させることを良しとしている現状があるからです。
また、近年比重が増えている総合型選抜で求められる探究学習や面接対策などをおざなりに対策し、いまだに一般入試で大学に合格することが正解だ、と考えている大人がとても多いことも原因の一つです。
つまり、「情報格差」は受験生だけではなく周りの大人たちからも解消していかなければなりません。まずはこうした格差を解消できるようなイベントを積極的に開催し、日本全国に「真の教育」を広めていけるよう努めてまいります。
★★ Kotona さんの活動はこちら 公式ツイッター
(講評)
多種多様な環境に属する学生の「挑戦する」機会が一律で保障されていないことに強い問題意識を持ち、その中で、学習者が受け身ではなく主体的・対話的に学ぶフィンランド式教育により、「大学受験の格差を是正するための教育機会を提供する」という現実のビジョンで活動されようとしていることが素晴らしいと感じました。
ご自身の体験に基づいた強い意志、すでに活動を開始されているところが、受賞の主な理由です。あなたのチャレンジがそのまま後に続く人のお手本となり、モチベーションとなることにつながります。ぜひその姿を見せていただきたいと思います。
現役の学生という立場のプラス面を発揮し、これまでの枠に囚われない教育、ひいては人生の選び方を提唱してくださることを期待しています。
「地域にとらわれず、多種多様な環境に属するチャレンジャーズ」を生み出すということにも大変賛同します。
現在は学生創業も珍しくないと聞きます。VUCAと言われる急速な時代の変化の中で、多種多様な考えが生まれたときに、その考えを否定せず伸ばすことでイノベーションとして育っていく可能性が大きいです。そこには多様な価値観を持ち、伸ばしていける人の存在が必須です。
この活動によって高い教育機会を受けられる方が多く輩出され、イノベーションを興し、世の中がより豊かなものになっていくことを願っております。
以 上
審査員
秋満直人
エデュテーメント・パートナーズ代表 特定非営利活動法人鳳雛塾 理事 経営学修士
百貨店にて売場担当後、営業戦略・新店舗出店準備室などの歴任後、教育コンサルティング会社に転職、2006年に独立し現在に至る。
「Education(教育)」+「Entertainment(エンターテイメント)」=「Edutainment(エデュテーメント)」をポリシーとした、
双方向型のマネジメント研修および業務改善コンサルティンティングを実施。
医療・介護施設をはじめ、NPOや自治体、学校、一般企業など多岐にわたる分野で活動中。
藤田有貴子
中小企業診断士 国家資格キャリア・コンサルタント 金城学院大学非常勤講師 経営学修士
シンクタンク、事業会社でウェブサービスのNPOや新規事業の立ち上げ・企画調査分析、コンサルタント、プロジェクトマネージャーを経験。
新しい考えを世に伝える触媒を目指し、中小企業及びコミュニティ支援活動に従事。
豊田敬子
「心豊かな社会をつくるための子ども教育財団」代表理事 経営学修士